シーケンス制御の技能検定で合格するためには

シーケンス制御の学科試験は、とにかく参考書と問題集の数をこなして、問題の傾向と何が要求されているのかをつかむ事が大事です。単純に覚えなければならない問題もありますが、理解しなければ毎回悩む問題もあるはずです。これはもう、数をこなすしかないでしょう。数をこなすためには時間が必要ですから、少しずつでも毎日繰り返して勉強するのが良いと思います。電気回路の基礎知識も要求されます。シーケンス制御だけでなく、幅広く学習するのが大事で、最低3ヶ月はやりたいところですね。
実技試験は、時間制限無しにじっくりやれば、たいてい完成できる問題です。しかし、普段からシーケンス制御に関わっている人でも合格できない事が多々あります。なぜか? 仕事と試験では根本的に作業の仕方が違っています。時間が短時間であるというのは間違いないですが、私が思う最大の違いは、もっと他のところにあります。
まず私の経験では、仕事は、過去の類似回路から変更設計することが7~9割以上だと思われます。特に同一の顧客へ納品する場合は、回路構成や基本的な考え方をそっくりそのまま流用できますから、類似点を生かしつつ、変更箇所に注目すればよいのです。「シーケンス回路は、考え方をプログラミングしたもの」と言えます。なので、回路、ラダーを読めばどのように考えられているか理解できます。 仕事では納期短縮のため、標準部分がある程度できていて、変更設計がほとんどというパターンですから、自分でゼロから考えなくてもだいたいの構想ができあがっています。それに枝葉をつけたり切ったりするだけでだいたい設計完了してしまいます。
ところが技能検定の試験では、作成するソフトウェア(考え方)の基本スタイルが確立されていない人がほとんどでしょう。処理全体の流れはこんな感じで、この部分にはこういうインターロックが必要で・・・という具体的な中身は、試験会場で問題を読んでから自分の頭で考えることになります。 たいていの人は、幹のできあがったシーケンス回路に枝葉をつけることは短時間でできますが、根っこの部分から構想し、幹を作り、枝葉に至るまでを短時間で仕上げるという訓練をしていません。試験会場でいきなりそれができる人は、自分自身の(あるいはスタンダードとされる)シーケンス回路の考え方・組み方をマスターしているわずかな人だと考えられます。
ですから、普段どれだけシーケンス回路を設計していても、いやになるほど仕事でやっていても合格できない人が多いのだと考えられます。短時間で、ゼロから作り出す訓練をしていないからです。では、合格するにはどうするのか?
試験対策という観点で考えるならば、実技試験で使われるユニット(ハードウェア)を事前に準備して、ある程度試験に近い問題にたいして、自分で考え、作り込んでいく練習をすることで解決できるはずです。これを繰り返せば、おそらくかなりの高確率で実技試験は合格できます。
ただしこれには問題もあります。あくまで試験のための実技訓練であって、シーケンス制御のスキルアップ、レベルアップには結びつかない事が考えられるからです。実務では、数多くの多様な設備と、様々な状況に対処する能力も要求されますから、実務経験を数多くこなした方が本来の個人のレベルアップにつながるのは間違いありません。
それでも受験を勧めるのは、この試験をきっかけにさらに意欲的に、さらに創造力を発揮してやっていこうと思う人も少なからず存在するからです。一時的な試験勉強ではありますが、それを経験に、さらに腕に磨きをかけていくことも可能だと思います。
三菱シーケンサ写真

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